クロマグロ釣りは、多くの釣り人にとって夢のターゲットです。大海原で巨大な魚と格闘し、釣り上げた時の達成感は格別です。しかし、クロマグロの数は減少し続けており、その対策として、国や国際機関によってルールが年々厳しくなっています。2025年4月からは新たに全国で共通のルールが導入されることになりました。このガイドでは、クロマグロの資源保護の背景や、2025年以降の新ルール、今後の動向まで詳しく、そして分かりやすく解説します。
クロマグロの現状と資源管理の必要性
クロマグロは、寿司や刺身のネタとして世界中で人気が高い魚です。その需要の高さから、長年大量に漁獲されてきました。特に日本は世界でも有数の消費国であり、国内でも多くのクロマグロが食べられてきました。しかし、過剰な漁獲が続いた結果、2010年には資源量が初期のわずか1.7%にまで減少してしまいました。絶滅も危惧される中で、国際的な資源管理が始まりました。
その中心となったのが、WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)です。加盟国が協力し、漁獲量の制限や資源管理ルールを定めました。日本もこれに従い、商業漁業はもちろん、遊漁(レジャー目的の釣り)にも規制がかかるようになったのです。
クロマグロの資源量はどれくらい回復している?
近年、厳しい漁獲制限の成果もあり、クロマグロ資源は少しずつ回復しています。2022年には、資源量が23.2%まで戻りました。さらに、2024年には国際会議で、資源回復を受けた漁獲枠の増加も決定されました。
しかし、依然として安定した状態ではありません。完全回復にはまだ時間がかかるとされ、今後も継続的な管理が必要です。そのため、日本では2025年から「管理戦略評価(MSE)」という、科学的根拠に基づいた新たな管理方法が導入される予定です。
2025年4月から全国共通で導入される新ルール
2025年4月1日から、全国すべての釣り人に対して新たな規制が適用されます。商業漁業だけでなく、趣味でクロマグロ釣りを楽しむ人にも適用されます。主なルールは以下の通りです。
・30kg未満のクロマグロは、1年を通して釣ってはいけません。誤って釣れた場合はすぐにリリース(海に返す)ことが義務付けられています。 ・30kg以上のクロマグロは、全国で年間60トンまでしか釣ることができません。 ・年間60トンは、1ヶ月ごとに均等に配分され、特定の月だけで大量に釣られるのを防ぎます。 ・1人が釣れるクロマグロの上限は、1ヶ月あたり1匹までです。以前の「1日1匹まで」よりも厳しくなりました。 ・釣ったクロマグロは、港に持ち帰った日の翌日までに必ず報告が必要です。 ・報告には、魚の尾叉長、釣った場所、計測方法、利用した船の情報などを詳しく記入します。 ・さらに、魚を計測した写真と、本人確認ができる身分証明書の画像を提出する必要があります。
これらのルールは、資源回復に不可欠であり、釣り人一人ひとりの協力が求められています。
なぜ30kg未満は禁止なのか?
クロマグロは、成長するまでに長い時間がかかります。30kg未満の魚は、将来の親魚になる重要な存在です。これらの魚を釣りすぎると、資源回復が追いつかなくなるため、特に小型魚の保護が重視されています。
また、遊漁者によるクロマグロ釣りの人気が高まり、漁獲圧が大きくなってきたことも背景にあります。レジャーであっても、適切な資源管理に参加することが重要です。
遊漁船を使う人が守るべき追加ルール
2026年4月から、遊漁船を使ってクロマグロ釣りを行う場合には、遊漁船業者に対しても事前の届け出が義務付けられます。
【届け出に必要な内容】
・遊漁船の船名、登録番号 ・出港する港やマリーナの情報 ・船長や事業者の氏名、住所、電話番号、メールアドレス
届け出をしていない遊漁船は、クロマグロ釣りに案内することができません。遊漁船を利用する場合は、必ず事前に確認しましょう。また、乗船前には、利用する遊漁船がルールを正しく周知しているか確認することも大切です。
突然の禁漁期間に注意
クロマグロ釣りには、年間の漁獲制限だけでなく、状況によって発動される「禁漁期間」があります。たとえば、2025年1月から3月まで、全国でクロマグロ釣りが全面禁止となりました。
禁漁期間中は、クロマグロを狙った釣りはもちろん、たまたま釣れてしまった場合も、必ずリリースしなければなりません。他の魚種を釣っていた場合でも、クロマグロが掛かったらすぐに海に返します。釣行前には、必ず水産庁や各都道府県のホームページで、最新情報を確認しましょう。
これからもクロマグロ釣りを楽しむために
クロマグロ釣りを安全に、そして長く楽しむためには、釣り人がルールを正しく守ることが必要です。
・出発前には、最新の規制や禁漁情報を確認する ・釣った魚の情報を正確に報告する ・リリースが必要な魚は必ずリリースする ・遊漁船利用時は、ルールや届出の有無を必ず確認する
これらを守ることで、クロマグロ釣りの楽しさを未来の釣り人たちにも引き継ぐことができます。
関連リンク
コメント